約40年前のモンブラン No,146になります、思い入れのある万年筆で、その一つ一つの部品まで思い出があるとの事で、出来るだけ部品交換なしで使えるようにしたいとの希望です。
まずは、その万年筆を拝見し状態を確認してからとの事とでお預かりしました。
かなり、インク詰まりがあり見た目は部品交換が必要と思いましたが、まずは慎重に分解し(壊さないように)一つ一つの部品を点検をしました。
オーナーは無理に吸入をしたりせず、そのままの状態でお持ちになられたので吸入器も壊れた所が無く、部品交換せずオーバーホールとペン先調整でご使用いただけれると判断しました。
ただペン先は変色し、軸には小傷がたくさんありましたので、天ビス・キャップ・胴軸・尻軸などの部品の一つ一つを磨き組み立て直しました、ペン先は14金の合金ですので、金以外の銀・銅などが酸化を起こし赤く変色しておりますが、これは表面だけのことで磨けば元の新品の状態に戻ります。
書き味も滑り良く、インク出も安定し良い書き味になりましたので、さらに数十年とご愛用頂ける思います。
ラミーのペン先曲がり直しの依頼です。
落とされて写真のように、ぐにゃりと下に向かって曲がってます、イリジュウムと金ペンの接着面にヒビがありませんので、曲がり直しが出来ました。
ただ、このラミ―のペン先は大変小さく、また14金ですが固くてペン先曲がり直しがしにくく手間取りました、直しをするにはペンチでペン先を起こしますので、どうしても細かい傷がつきます。
それ取るのに曲がり直しが終わってから磨きを掛けますので、表面のロジュウムメッキが取れて地金の14金の色が出ます、が書き味は元どうりあるいはさらに良くなったのではないかと思います。
このラミ―は当店でお求め頂いた物ですので、当然無償修理になります。
モンブラン スターウォーカーレジン万年筆のインク途中切れ(カスレ)
常時ではなく時折インク切れを起こすとの事で、3回修理に出したが問題ないとの返事で都度ペン芯交換をして返却されるが、がやはり初筆切れ・途中切れを起こすとの事でした。
私も修理調整前にテストをしましたが、それほど問題ないように思えるのですが、これはそれを使う人が決める(感じる)事ですので、やはりどこかに問題があるのだろうと、色々と試したところ、ペン先が外向きになった時に時折カスレが出ました。
おそらくご本人も気が付かないのだろうと思いますが、書き進める内にペン先の角度が変わる時があるのだろうと思い、そのあたりを考え出来るだけ角度に汎用性を持たせられるようにイリジュウムの再研磨を行いました。
オーナーはかなり困っていたようで、字幅は変わっても良いのでとにかく切れないようにしてほしいとの希望でした、仕上がりは元の「F」のままの仕上がりでした。 原稿用紙2枚に試筆をしましたが全く初筆・途中切れはありませんでした。
万年筆は同じ物でも使う人によって書き味はそれぞれです、これは万年筆のみ持つ「方向性」によるものです、この方向性とオーナーの個性によってさまざま書き味が生まれます。
又この方向性によって使う間に、長く書くうちにオーナーの「書き癖」がペン先ついてきます、こうなったら占めたものです世界でただ一つの貴方だけのペンになります、人には貸さないでください、せっかくの書き味が変化する可能性があります、決してケチではありまあせん。
構造は単純ですがこれこそ万年筆の奥の深さでは無いでしょうか。